姫は王となる。
コンコンー…
上座に座りそんなことを考えていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「何用だ?」
老婆が声を張り、扉に向かって聞いた。
「国土大臣(こくどだいじん)が、王様にお伝えしたいことがあるそうです」
警備兵が大きな声で返答をした。
国土…大臣?
「国の領土を守る最高責任者でございます」
老婆がコソコソと耳打ちした。
「どう致しますか?」
国土大臣と言われても、顔も思い出せない。
それに、どこを管轄しているかさえも、老婆から聞くまでわからなかった。
「…通せ」
老婆にそう伝えると、"入りなさい"と老婆が扉に向かって声を張った。