姫は王となる。




血だらけで風が城に運ばれて来た時、今までの人生の中で一番怖いと思った。

風が死んでしまうかもしれない。

そう思っただけで、目の前が真っ暗になってしまった。

命懸けで、父様と兄様を守ろうとした風…

このまま私の側に居ればきっと、また風は怪我をしてしまう。最悪の場合死んでしまうかもしれない。
そう思ったから、風を遠ざけた。



それなのにー…



「…王様、一つお願いがございます」

「…何だ?」


頬に流れ落ちる涙を拭いながら、そう返事をした。








「護衛長として、王様の側に置いていただけないでしょうか?」



ドクン。


「…」




まさか風から申し出るとは思っていなくて、驚いて目を見開く。


風はさっきの優しい笑顔とは変わり、真剣な表情で真っ直ぐと目を見つめてくる。

















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