壊れるほど君を愛してる



だから私の目の前で笑っている彼が幻のように思える。私は夢を見ているんじゃないか、そう思うほどあり得ないことが起きていた。


朝は私を迎えに来て、彼はずっと私と居てくれる。私にとって、彼と一緒に容れることは幸せなことだった。


ずっと続けば良いな、そう思っていた。





そんなある日。私はお父さんに呼び出された。リビングに行くと、お父さんがソファーに座っていた。


「莉奈、話があるんだ」


お父さんがかなり真剣そうな顔をしているので、少し不安になった。大事な話なのだろうか。


「春休みが始まったら、京都に転校する。お父さん、転勤することになったんだ」


「えっ……」


「ごめんな。もしかして、大切な友達とか居た?」


……居るよ。私にとって大切な人。先輩が居るんだよ。


「ごめん……」


お父さんがずっと謝っている。私は頭を横に振って、お父さんに微笑んだ。私はすぐに部屋へ駆け込んだ。


先輩と離ればなれになるのはもう嫌だ。せっかく幸せを築いたのに、先輩と話せるようになったのに、どうしてすぐに幸せが崩されてしまうのかな。


どれだけ涙が堪えようとしても溢れてしまう。涙と共に嗚咽も混じってしまう。


何で、何でこんな時に転校させられるんだ。酷い、酷いよ。神様なんて本当にいるの?


今日も心が壊れそうなほど君を想っているのに、何で叶えてくれないの?


先輩が一緒に家に来てご飯を食べるようになった。お父さんと三人で笑えて幸せだった。


先輩が良いタイミングでバイトを見つけて、春休みに行くらしい。春休みもギリギリまで居たかったな。


空を見上げる私を先輩は心配してくれた。私は空を見見上げると、先輩と離ればなれになるんだと悲しくなっている。それが彼にはなんとなく分かってしまったんだろうか。


春休みが始まる日は別れの日。私は君を見て涙を流した。先輩は抱き締めてくれた。


「先輩、さようなら」


「うん、じゃあな」


私は足早に家に帰る。道中で私は涙を流していた。


本当に先輩と離ればなれになってしまうのだろう。悲しくて、また涙が溢れてしまいそうだ。


趣味で書いていたケータイ小説も続編として今までのことを書いていた。これも終わってしまうのだろうか。私はあえて完結にしなかった。また会えると信じているから。


今日も君を心が壊れそうなほど愛してる。



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