壊れるほど君を愛してる


琉晴に了承を取り、俺は海翔と一緒に誕生会の会場である海翔の家へ向かっていた。


「なんかこんな感じの家、見たことあるぞ……?」


神々しく輝く豪邸は征也のお祖父さんの家と同じような感じだった。


「そうなんか?」


俺の言葉に隣の海翔が首を傾げる。


「同級生の家も豪邸だったんだ」


「ほう、そりゃすげーや」


「海翔の家もな」


お前は何者だ、と聞きたいがその言葉は呑み込んだ。


「お邪魔します」


俺はそう言って、大きな玄関で靴を脱いだ。たくさんの芸術作品が飾られている。


大きなホールみたいな部屋に入ると、たくさんの人が居た。俺を見るなり、静かになった。


「おーい、みんな。紹介するやで!ほら、先輩!」


俺はそう言われて少し戸惑ったが口を開いた。


「俺は……藤田翔です。西宮高校卒業で、今は大阪のホテルで働いてます……」


昔は人に囲まれるのが好きだったのに、今は人がたくさん居ると怖くなった。あんなことがあったからかな。


「もしかして……話題の先輩やで!」


女子達が興奮し始めた。もしかして、莉奈は俺のことを話したのか?


「海翔、最高やで!莉奈の大切な人がサプライズ登場はすごいやで!」


興奮する女子は海翔の周りを囲んだ。


「お前ら黙れや。どうやって、翔がサプライズ登場するか考えるんや」


何度か練習を重ねた。その間、莉奈へのプレゼントを考えていた。


「翔先輩、莉奈にはどんなプレゼントをするや?」


「もう貯金は貯まってるし……婚約指輪にしようかな」


俺がそう言うと、歓喜の声が部屋中で響いた。


「プロポーズやんけ!」


「スゲーわ……」


男子も興奮状態だった。こんなたくさんの人と関わったのは久しぶりだな。


「もうプレゼント買って来い!また明日な!」


海翔がそんな突拍子もないことを言った。もう俺は帰るのか?


腕時計を見ると、かなりの時間が経っていた。


「もうこんな時間だし、もう帰るよ」


俺はそう言って、海翔の家を去った。



指輪が売ってる店で、一番安いものを買った。ピンクトルマリンという宝石らしい。




早く君に会いたい。会って、ちゃんと言いたい。



短くまとめて、好きだって……。




< 56 / 63 >

この作品をシェア

pagetop