極上御曹司に求愛されています

悠生が社長になって約一年。
悠生にはようやく社長としての自覚もでき、心身ともにその環境に慣れてきた。
社長に就いたのとほぼ同時期にふたりは結婚したが、芹花は結婚をきっかけに事務所を退職した。
木島グループを率いていく悠生を支えるためには仕方がないのだが、芹花の人生を良い方向に変えてくれた三井への恩を感じていた芹花にとっては苦渋の決断だった。
結婚式の直前まで仕事を続け、芹花の後任として採用された女性への引き継ぎも完璧に済ませた。
ただ、三井法律事務所の代名詞と言われるほどまでになったHPのイラストは、それまで通り三か月に一度のペースで芹花が描くことになった。
一年半ほど前に発売したイラスト集は大ヒットし、翌年の書籍売り上げの中でも上位に入った。
多くの人に楽しんでもらえたことはもちろん嬉しいが、イラスト集をきっかけに三井法律事務所を訪れ、悩みを相談する人が増えたことも、芹花だけでなく事務所全体のやる気を高めた。
その間、三井法律事務所の顔ともいうべき慧太が婚約し、女性たちを悲しませたことは想定外のことだった。
おまけに、木島悠生、三井慧太とともに新聞で取り上げられた若手政治家の生方隼人も、昨春の選挙で再選を果たした直後、有名モデルの竜崎楓と結婚し、世間をあっと驚かせた。
今も楓は仕事を続けながら隼人を支えているが、医学部を卒業し医師免許も持つ彼女はボランティア活動にも熱心で、特に女性からの人気は高い。
その影響ゆえか、隼人の活動にも好影響を与え、次の選挙でも隼人の再選は確実だろうと言われている。
モデルという派手に見える職業の彼女を、隼人の後援会の面々は快く思わなかったが、世間の評判がよくなるにつれて、その態度を軟化させ、今では地元の後援会の女性支部の名誉会長として迎え入れている。

「楓さんも幸せそうで、良かった」
 
芹花はテレビの画面に流れる化粧品のCMで、芹花が艶やかな笑顔を浮かべているのを見ながらほっと息をついた。


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