極上御曹司に求愛されています

明け方ようやく浅い眠りについた芹花だが、八時過ぎには目が覚め、ベッドの中で体を丸めたまま鬱々としていた。
その手にあるスマホは時折震え、芹花はそのたびため息を吐いた。
芹花に恋人ができたと綾子が早速広めたようで、同級生たちからのお祝いメッセージがスマホにいくつも届いているのだ。

【いよいよ芹花に男前の彼氏ができたって聞いたよ。早くこっちに連れておいで】
【礼美のこと、見返してやれ】
【今度こそ幸せになるんだよ】

同級生たちの浮かれようがわかるメッセージが並び、機種変更したばかりのスマホがどんどん重くなっていくような気がした。
まだひと晩しか経っていないのに、綾子は何人に連絡したんだろうと、落ち込む。
けれど、これまでどれほど綾子に心配をかけていたのかと、申し訳なくも思った。
結束が固い地元の友達の中でも、綾子とはとりわけ仲が良く、芹花が地元を離れたあとも付き合いが続いている親友でもある。
長身で学生の頃続けていた陸上のおかげで引き締まった体は同性から見ても羨ましく、大きくきりりとした奥二重の瞳が印象的な綾子は、地元でも美人で有名だ。
男兄弟の中で育ち、そのサバサバとした性格も魅力的。
困っている人の面倒をみずにはいられない世話好きな綾子は、誰からも頼りにされ好かれていた。
それは今も変わらず、地元の仲間たちをまとめる姉御的存在なのだ。



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