ダメ女
失踪
警察で小部屋に通された。

「お兄ちゃん、偉いよ。その年齢で結婚してるんだから。でも、器物破損だからね。」

弟も呼び出されて隣の部屋でずっと泣いていて警察官に怒られたらしい。

僕と明美は、家に帰されて写真を撮られた。

僕を叱ってくれる人はいなかった。

そして明美は、実家に行って両親を説得すると言って失踪した。

次の日から、明美の父親からメールが来るようになった。

簡単に言うと

【明美の借金を返して離婚してくれ。】

という内容だった。

時が止まってしまったようだった。

明美は、保護シェルターにいるらしい。

僕は、住んでいた家の近くまでバスに乗って近くの店でワインを一本買った。

僕は、いなくなればみんなが幸せだと思いワインを飲んで凍死しようと思った。

汐里に手紙を書いた。

好きだったと…死ぬと…。

ワインを飲んで友達の家を訪ねた。

友達は、インフルエンザだったが寒いなか歩いて話を聞いてくれた。

それから再び公園に戻ってベンチに座ってため息をついた。

頭がガンガンして寒くて死ねなかった。

幼なじみの家を訪ねると理由も聞かずに家の中に招き入れてくれた。

久しぶりに、人の温もりを感じた。

夕食を頂いて熱海の親に連絡してくれた。

「明日の朝に来てくれるって。」

僕は、不覚にも人前で泣いてしまった。

しかし、迎えに来た親は

「警察に相談しよう。」

と言った。

警察に行くと

「これは、結婚詐欺かもね。」 

と言われた。

「この弟、女の彼氏かもしれないね。」

聞きたくなかった言葉がたくさん出ては消える。

警察をこの時から信用しなくなった。

近くのファミレスに入ると父親は時間を気にするばかりで話を聞いていない。

呆れて僕は、アパートに戻った。

それから半月は、食事もろくに取らずに明美の父親からはメールが来ていた。

最初は、抗議メールをしていたが疲れてメールもしなくなった。

僕は、明美の父親と結婚した訳ではないと自分に蓋をした。

明美には、連絡していたが全くメールの返信はなかった。

ただ…mixiに明美の足跡がついた。

謝罪メールをたくさんした。

そうすると返信が来た。

【病気は、大丈夫なの?】

と……。

僕は、ウソをついた。

病気だと言えば帰って来てくれると願い。

明美は、高圧的な、父親を嫌い僕に連絡してきたのだ。

父親は、自己破産して一緒に新しく家を建てて住めと言ってきたようだ。

僕は、成田まで明美を迎えに行った。

待ち合い室に顔を埋めて明美は、座っていた。

「痩せたね。」

と明美は一言呟いた。

一緒にアパートに帰ると自分はアダルトチルドレンだと明美は言った。

僕は、アダルトチルドレンについてパソコンで調べてそれに関するDVDを借りて明美と観たりした。

明美は、自己破産するまで生活保護を受けて成田で一ヶ月一人暮らしをしていた。

荷物がまた僕の部屋に送り届けられて部屋は段ボールだらけになった。

明美は、父親にメールした。

【死んで下さい。今すぐ死んで下さい。】

とメールが返って来た。

もはや父親ではなくモンスターだった。

僕は、新しい派遣の仕事を始めたが遠すぎてすぐに辞めた。

その代わりに明美が働き始めた。

その前に僕も明美も精神の検査を受けた。

僕は、持続性障害、精神遅滞と診断を受けた。

明美の、病気は良く分からなかった。

僕は、ヘルパーの資格を取得したが働き口はなかった。

明美は、仕事を辞めて自己破産の手続きをし始めた。

それには、僕も無職でなくてはいけなかった。

僕は、色々ありすぎて疲れていた。

市役所に生活保護と自己破産について話し合いに行く時に僕は、腹の具合が悪かった。

市役所のトイレに入ってスッキリしたが神経はイライラしていた。

担当者に、生活保護と自己破産の手続きを出来るように頼むと了解が降りた。

しかし、明美の祖母が明美に保険をかけていたのでそれを解除してから来て下さいと言われた。

僕は、夜に一生後悔する事をしてしまった。

精神薬を酒と一緒に飲んで明美に暴言を吐いた。

特に弟の事で。

僕達は、契約書を書いていた。

しかし、僕は、それを破った。

次の日に、謝ろうと寝た僕の隣にいた明美は、朝には消えていた。

雨が激しく降っていた日だった。
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