ダメ女
僕は、由香に嘘をついていた。

普通のサラリーマンだと。

正直、由香とは長く付き合う雰囲気では無かった。

由香は、僕を、この時、週末におにぎりを食べに来る男としか見ていなかった。

それを、ステップアップさせたのが由香の妹さんの美紀さんだった。

僕は、障害者年金が下りると生活保護が解除された。

今までの生活保護費を一時金で返した。

そして、また派遣会社から電話がありチョコレート工場で働く事になった。

しかし、会社の説明会で担当者の言葉に同じ人間ではないと、感じた。

「派遣社員なんて、いくらでも代わりはいます。だから休まないように。休んだらどんどん切ります。」

大手の会社だったがクズ会社だった。

2日間で辞めた。

そんな時に由香と美紀さん夫婦が僕のアパートに来てゲームセンターに行こうと誘ってくれた

一緒にゲームセンターで楽しみ笑った。

体を動かす事も久しぶりだったので楽しかった。

その反面、由香には、本当の事を話さなくてはと思った。

フラれる心の準備はしていた。また、孤独との戦いが始まる。嫌だな…。

由香に泣きながら話すと

「やっぱりね。でも、健太の人格を好きになったから大丈夫だよ。」

と当たり前のように受け入れてくれた。

僕は、由香に信用してもらいたくて大学、専門学校の卒業証書やアルバムを見せた。

由香は、特に関心を示さなかった。

「じゃあ、今度、ちゃんとうちのお父さんとお母さんに挨拶に行ってくれる?」 

「もちろん。でも、無職だし、病気だから大丈夫かな?」 

「別に良いと思うよ。一生働く気が無いわけじゃあないんだし、年金も、もらってるから大丈夫だよ。」

由香は、タバコを吸いながら言った。

僕は、内心心配だったが由香と一緒に生きて行きたいと強く思った。
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