5人の王子とお姫様!
「天音ちゃんが何を焦っているかは分からないけど、別に急ぐ必要はないんじゃないかな」
どきりとした。
やっぱり何か、見通されてる気がしてならない。
……おそるべし。
居たたまれなくて、顔を逸らす。
「……タオル、洗って返すから」
「気にしなくていいよ」
聖の言葉を聞いて、目前に見えていた寮に向かって駆け出す。
「え、天音ちゃんっ?」
後ろから聞こえる声にやっぱり無視なんてできなくて、振り返る。
「あの、聖。……ありがと、ね」
「……!」
少しはにかんだけど持ち直して、再び走り出す。
驚いてる聖をよそに、さっさと建物に駆け込んだ。
「……参ったな…」
聖がほんのり頬を染めて、戸惑いを隠せないというように困った顔で呟いているなんて、鈍い私が気付くわけもなかった。