5人の王子とお姫様!
彼女はあの時、何を思っていたのか。
そこまで突き詰めて考えられるほど、自分だって冷静じゃなかった。
ただあの時は、本心で話さなければすぐに見透かされそうな気がした。
もっといえば、見限られそうな気さえして妙な焦りがせり上がったのを覚えている。
彼女と僕との違いを示した、くだらない戯れ言を話している間、考えた。
その結果答えた僕の、あれは果たして本音だっただろうか。
確かに、場合によっては天音ちゃんと同じことをしたかもしれない。
けれど、それは状況判断にもよるから、もしかしたら……とも考えてしまうのだ。
本能より理性を優先して行動する自分だからこそ、彼女のようには動かなかったかもしれない。
常に何通りもの選択肢を持ち、先立って結果を予測し、打算的に考える。
僕は、周りが思っているほど優しくもないし、大人でもない。