5人の王子とお姫様!
「姉さん…」
可愛い可愛い弟に無言で頷いてみせる。
動揺を隠しきれずに視線を落とす昴の手を引いて、その場を離れようとした。
だけど。
不意に、パーカーの袖を引っ張られて行動を阻害された。
振り向けば、眠そうな顔でこっちを見ている空と目が合った。
「天音…?」
どこに行くの、と言いたげな表情の空が首を傾げる。
何をするでもなく黙って見上げてくる空に、焦りが募る。
「あっ、あっまねー!!どっか行くのー?僕も行きたーい」
運の悪いことに、琉羽がこっちに気付いて手を振ってきた。
手を振り返す余裕があるわけもなくて。
「そ、空……は、放し…」
「あっれぇー?なーんか知ってる顔がいると思ったらぁ、あんたもしかして…」
空の手を掴んで引き剥がそうとした瞬間、かけられた声。
ドクリ、と嫌な音をたてて心臓が軋んだ。