5人の王子とお姫様!



思い出す度、吐き気が襲う。


頭が冷えて真っ白で、体が強張って動けない、あの感覚。


それは、あの男……慶太の隣にいた女の子・後藤絵茉(ごとう えま)を見たことが決定的だった。



絵茉とは顔見知り。


それどころか、かつての親友だった人だ。


慶太と共にその場に居合わせた彼女は、顔を逸らしたきり、決して私を見ようとはしなかった。



それもそのはず。


絵茉は……



私を見捨てて、突き放した張本人だから。



絵茉はいじめを止めてはくれなかったけど、ただ、どこか自信があった。


絵茉だけは私を、支えてくれる……



そう思っていた。


そんな根拠、どこにも無かったのに。



『あんたいじめないとあたしが標的になるから』



そう言い放った彼女の言葉は衝撃的で。


裏切られたと感じた直後、大量の水を頭から被っていた。



水をかけたのも、冷たく見据える絵茉だった。


何で、と……そう問うことを諦めた。


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