5人の王子とお姫様!



絵茉は悪くない。


全部、無条件に信じてしまった私が悪い。


弱者は結局、強者には勝てない。


そんな道理、認めたくなかったのに……



私は、最悪の結果でそれを思い知ってしまった。




忘れかけていたのに、あの人たちは私の前に現れた。


私の中を容易にかき乱して、嘲笑う。


だけど、何よりも重たくのし掛かったのは絵茉の一言。



どれだけ痛い記憶が薄れても、あの時の絵茉の言葉だけはきっと、私は一生忘れない。



「ハア……ハア、ハア……」



こんな情けない、前に進めないままの私を知られたくなかった。


こんな私にも良くしてくれる人たちに。


嫌だ、みんなの所に戻りたくない。


幻滅されたくない。



「ハ、ハ……ハァー、ハア…ハァ…」



暑い。


胸が苦しい。


息がどんどん荒くなって、頭がぼんやりしてくる。




「ゲホ…っハア、ハ、ハア…」



必死に息をするのに、まるで呼吸の仕方を忘れたみたい。


< 312 / 474 >

この作品をシェア

pagetop