5人の王子とお姫様!
微かに唇が動く。
“どうして”
聞けない代わりにこぼれ落ちたその言葉は、やっぱり声にはならなくて。
誰にも届かないまま喧騒にかき消された。
なんとなく、これは現実じゃなくて、夢の中だって分かってた。
だけど、これはただの夢じゃなくて、過去に起きた実際の出来事だったから、私には現実にしか思えなかった。
過去をやり直してるみたいな、リアルな夢。
思い出したくもない、吐き気がするようなそれは私にとっての地獄そのもの。
ーーねえ、絵茉。
どうして私を“信じて”くれなかったの?
聞けなかった後悔。
足りなかった勇気。
一歩が、踏み出せなかった。
絵茉、私が憎かった?
ごめんね、弱くて。
ごめんね、ちゃんと向き合えなくて。
私……やっぱり、変われなかったね…。