5人の王子とお姫様!



少し落ち着いて見えるのは、病み上がりの私を気遣ってくれているのかもしれない。


ハッとしたように口を抑えて声量を落としてくれている。



「天音ちゃん、朝食は食べれそうかな」


「聖……うん、食べる」


ブンブン、頭を振って頷くと聖が笑ってくれる。


「はは、大丈夫そうだね。元気で何よりだよ」


一見、いつもと変わらないように見える聖だけど、笑うたびに目尻が下がって優しい顔をする。



みんなに連れられてリビングに入る直前、離れた場所で腕を組んで壁にもたれていた楓斗が通り過ぎざまに一言。


「良かったな」


多分、私にしか聞こえない声でぼそりと言った。



ちらりと見ると、やっぱりいつもの仏頂面。


「ん」と小さく頷いて通り過ぎる。



楓斗、ありがとね。


その言葉は、心の中だけに留めた。


昨日の夜にも言ったし、言うのも今更だと思ったから。


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