5年目の遠距離年の差恋愛


「それって…。」


思わず彼の顔を見つめる。


赤く照らされた、穏やかな表情の彼がこちらを向いていた。


「そろそろ結婚考えさせてくれよ。
ちゃんと5年我慢したんだぞ俺。」


えと、プロポーズ?とは違うのかな?


よくわかんない。


いつも決まりきったドライブデート。


車の中でプロポーズ?


「はい、手貸して。」


握ってた手を彼に持ってかれる。


左手の薬指にはめられた指輪。


「とりあえず、一緒に住んでみて俺との生活が合わなかったら婚約破棄してくれていいから。」


んと、これってやっぱりプロポーズだったのね。


サプライズも何も無し。


おそるべし。


ただただ彼らしい。


プロポーズはホテルの最上階のシャンデリアの豪華なレストランでって、高校生の頃妄想してたりしたんだけどな。


まあいいか。


じわじわと暖かいのが心から全身に隅々まで広がっていく。


なんか、ある意味1番プライベートな形で、感動してどれだけ泣いても恥ずかしくないし、私にはあってるかもしれない。


「しんちゃん、家は中古で十分だけど、キッチンと寝室はリノベーションしよう!
キッチンはアイランドがいい!
後、ベッドはキングサイズにしよ!」


今まで1人の時間に溜め込んだ幸せ妄想、帰らなきゃいけない明後日までに全部吐き出してあげる。


「その前に、ちゃんと試験受かれよな。」


「あはは〜」


「あはは〜じゃない!
受からなかったら後一年離れ離れだぞ!
まじで頼む。」


「頼まれた!」


睨まれてもこんなに幸せなの初めてだ。


「あ、ここって…」


「桜が初めてこっち来てくれた時に泊まったラブホ。
子供何人欲しい?」


「…えと、考えてたのは3人かな!
男の子、男の子、女の子!
まずねー、1番上の子はサッカーでしょ〜、次男は


「分かったから、まずは、国試ちゃんと受かれよ。」


「むう。」


途中で話し遮らなくていいじゃんか。
自分から聞いたくせに。


しんちゃんのばーか!


車から降りると、冷たい風が頬をかすめる。


暖かくて大きな手が迎えてくれて、私の手と心を包んでくれました。


指輪、大切にしよう。


END
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