金木犀
距離

3月にやっとプロジェクトが終わって。


やっと落ち着くんだと思ってたところ。


4月になて、次に任された仕事はトヨさんがリーダーで俺が補佐の5人の新しいプロジェクト。


会社自体の新しい試みで、今までは大規模の大人数のプロジェクトだったのが

小さな小さなプロジェクトを請け負うことになった。



責任者はトヨさんになってるけど、トヨさんは複数のプロジェクトを掛け持ちするから、このプロジェクトを仕切っていかないといけないのは俺で。


今まで下っ端で客との交渉なんて遠い世界だったのが。



今回は目の前にいる、実際金を出してる企業の担当者。



やりがいは十分。


自分の力も試せる。



こんな仕事やりたかったんじゃんって夢中になって。






時間も忘れて仕事に没頭した。







「加地くん、働くねー」



短期のプロジェクトだから、協力会社のPGも来てる。



俺より年上で、しかも女の人で。


バリバリのPGが俺の下で働いてる。



はじめは気を遣うかなって思ったけど。


あまりにもサバサバした性格で


しかも、仕事のスピードもプログラムの精度も完璧で。




今じゃ超頼りになる仲間。




「佐藤さんほどじゃないですよ。」



結婚もしてて、家事もしている佐藤さんは本当に尊敬する。




「はは、回遊魚と一緒だよ、動いてないと死ぬ」




そう笑いながら言って手描きでメモだらけの仕様書を俺の机の上においた。












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