金木犀
「いてっ・・・」
押しのけられた海斗は横に倒れる。
それをお構いなしに絵里ちゃんからの質問攻めを受けた。
絵里ちゃんに、2週間、会えないことを言うと
「会いに行ったらいいじゃん。会社の場所知ってるんでしょ?」
「え・・・?」
「ちょうど近くに来たんだって、出て来れない?って電話してみたら?」
ビジネス街に女子高生が居るのおかしくない?って渋る私に
そんなの穴場のお店があるんだってなんでも誤魔化せるじゃん。
そう言って絵里ちゃんは笑った。
そっか、ちょっと会うぐらい平気かな。
そう思って、
でっかい、ビルの前に来てしまった。。。。
昔、ドライブの途中でトヨ君が案内してくれたビル。
ここの13階だよって。
1階にはおしゃれなカフェがあって、スーツを着た人たちがお茶してる。
ガラス張りのロビーも、グレーや黒のスーツを着た人たちがいっぱい。
あの中に、赤のチェックのスカートに紺のブレザーの私が入るとものすごく不自然なんだろうな。。。
「ほら、メールしてみたら?」
着いてきてくれた由花が後ろから声をかける。