聖なる告白
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宮森一平。26歳。
三浦水産株式会社商品開発部研究室所属。

彼はストイックで優秀な社員。理系男子が集まる開発部で、日々仕事に打ち込んでいる。

社会人らしく整えた黒髪、眼鏡、襟付きのシャツが定番スタイルだ。新人研修で初めて挨拶した時、同い年なのに言動が大人っぽくて落ち着いた人――という印象を受けた。

例えば、私が好きなアウトドアの遊びはしなさそうな、インドアタイプというのか。とにかく、浮ついたところがまったくない。

同期の飲み会に来ても、彼は落ち着いた姿勢を崩さず、マイペースそのもの。他の男子のように羽目を外したり、騒いだり、女子を口説いたりせず、淡々とお酒を飲んでいる。

一平君は誰にでも親切で優しくて、人畜無害。

穏やかなので話しやすいけれど、それだけに友達の域を出ない……つまり、異性としてのアピールをまったく感じさせない存在だった。

そんなわけで、私にとっての彼は単なる同期であり、顔を合わせれば世間話くらいはするという、フランクな関係を入社以来続けてきた。

趣味も合わないだろうと予想したので、プライベートに踏み込むこともなく。

でも、実は違っていたのだ。
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