聖なる告白
「うう、寒い……」


私はバッグの中からラッピングされた小箱を取り出し、白い息を吐く。


「来てくれるかなあ、一平君」


クリスマスイブの街はイルミネーションが輝き、恋人達の笑顔であふれている。

待ち合わせ場所を賑やかな通りに選んだことを少し後悔した。もし彼が来てくれなかったら、惨めさ倍増である。一生、立ち直れないかもしれない。

時計を見れば、約束の時間まで5分を切っている。


「昨日の告白で、ドン引きされちゃったかも」


足先が冷たくなってきた。暖冬のはずなのに、今夜に限ってひどい寒さだ。ちらほらと舞いおりてきた雪のかけらを、震えながら見つめる。


「お願いします。私の気持ち、受け取ってください」


目を閉じて祈ると、瞼の裏に真夏の太陽が輝き始めた。

一平君を初めて意識したのは、今年の夏。海辺の民宿で偶然出会った、奇跡の瞬間だった。
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