聖なる告白
「じゃあ、同じ日に予約したのか。でも、そんなこと一言も聞いてないけど」

「私だって……」


あれっ? と、私は首をひねる。


「もしかして一平君、お昼を過ぎた頃、ビーチの真ん中辺りで泳いでた?」

「うん」


何で知ってるのという顔で、私を見る。


「私達、ビーチの真ん中にある『児島屋』っていう海の家で、焼きそばを食べてたの。それで、その時一平君を見かけたような……」

「ような?」

「いやだって、一平君はもっとほっそりした体型だと思ってたし。まさか、あの人があなただったなんて、気付かなかったもの。一平君だと分かってたら、声をかけてたよ」

「そうだったんだ」


彼は不思議そうに自分の体を見下ろす。


「でも僕、そんなに痩せ型に思われてるのか。まあ、会社で裸になることはないし、筋トレが趣味だとか、特に話したことはないけど」


この人は自分をまったく分かっていない。脱いだらすごいというレベルではない。
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