聖なる告白
胸をなで下ろす私を沙織が肘でつつき、座卓の下でVサインを作る。

何のVサインよ!

と、勝手に計画を立てた彼女をつつき返した。まったく、強引なんだから。

でも、彼女のおせっかいに、私は深く感謝していた。こんな身近に理想どおりの男性がいるなんて、おせっかいを焼かれなければ、一生気付くことはなかっただろう。

私は自分の鈍さと、オトコの肉体的魅力に弱いことに呆れながらも、幸せを感じていた。


一平君は初めこそ淡々と飲んでいたが、旅先での高揚感か、しだいにテンションが高くなる。そして、彼らしくもなく、ずいぶんと饒舌だった。

だけどそのおかげで、実は一平君がスポーツが得意で、アウトドア派であることがわかり、私のテンションも上がっていく。

なぜ今まで彼のプライベートに触れなかったのか、よく考えると不思議でならない。こんなに親しみが持てる同期なのに。
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