聖なる告白
一平君は、よく聞こえなかったのか耳を寄せてくる。

私はじれったくなり、ストレートに告白した。


「だから、カラダに惚れたの! ビーチを歩くあなたの理想的なアスリートボディに、射抜かれちゃったのよ。その上、民宿で再会した、あの運命的な出会いの衝撃が……」

「ちょっと待ってくれ」


ふいに肩を掴まれ、ビクッとした。

一平君は信じられないという顔で、私を見ている。


「そうだったの? 君は僕の、か、体を目当てに……」

「え……?」


そこで私は、ようやく我にかえる。酔いがいっぺんにさめていくのがわかった。


「へっ、あの、一平君……?」

「もういい!」


一平君は財布から一万円札を取り出し、カウンターに置いた。

私がオロオロする間に、コートを持って立ち上がる。
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