触れられないけど、いいですか?
私の家を出た後、次に向かったのは翔君の家だ。

休日とはいえお義父様がお忙しいのは百も承知の上だけれど、翔君からアポを取ってもらった。

三十分くらいなら時間取れるって、と翔君は言ってくれた。もしかしたら、状況が状況な為に、お義父様は無理して時間を作ってくれたのかもしれないと私達は思っているけれど。


翔君がお家の玄関の戸を開けると、お義母様がが部屋の奥からやって来た。


「まあまあ、いらっしゃい! どうぞ上がって、上がって!」

笑顔でそう言って手招きをしてくれるのだけれど……いつもと変わらない様子だ。お義母様だって、事情は当然知っているだろうに。
私だけでなく、隣にいる翔君もそのことに少し戸惑っていることに気付いた。
ひとまず、お義母様に誘導されながら、私と翔君はリビングへと向かった。
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