学園スパイラル~七不思議編~
「健。悪いんだけど、相手になってやってくれないかい」

「ええ? 俺?」

「同じ人間じゃなくていいのか?」

「何年も前の人間を捜し出すのは骨が折れる。健で代用としよう」

 代用って、そんな適当でいいのかよ。

「じゃあ、ここでいい?」

 健は匠の指示に従ってイーゼルの前にある丸椅子に腰を落とした。

「この子の死んだ原因とかは、聞いたのか?」

 待っている間が暇なので匠に尋ねてみる。

「自分で落とした油絵の具に足を滑らせて、机の角に頭をぶつけてそのまま──だそうだよ」

「そ、そうか。それは、気の毒に」

 耕平には、その言葉が精一杯だった。

「いつまでやるの?」

 五分もしないうちに健が飽きてきた。彼には大人しくしていることは難しい。

「明日、私の母の特製クッキーを持ってきてやろう」

「交渉成立!」

 健はぴしっと背筋を伸ばした。
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