俺の同僚曰く、世界平和はどんちゃん騒ぎと笑顔でできている「下」
「リリーが歌を褒めてくれて、とても自信がつきましたのよ。落ち込んでいても、苦しんでいても、リリーがいれば全て吹き飛びますわ!」

フローレンスが言う。

他のメンバーたちも、口々にリリーを必要とする言葉を発する。

ジャックの顔が固まる。俺は一歩前に進み出た。

「リリーは必要とされている。その気持ちに変わりは決してない。リリーを解放しろ」

ジャックは「近寄るな!!この愚民どもが!!」とリリーの首すじにナイフを突きつける。

「この女を殺すぞ!!」

ジャックの怒声と、俺の「やめろ!!」と言う声が響いた。

それは、一瞬だった。リリーはナイフを持つジャックの手を掴み、自分の髪をナイフで切り落とした。

ジャックが驚いて固まった隙に、リリーは大罪人の腕から逃れる。

俺は今までの怒りに任せてジャックを殴り飛ばし、「お前を逮捕する!!」と叫んだ。

ジャックの手には手錠がかけられ、タンバリー国の警官が両脇を抱える。子供のようにふて腐れた表情のジャックに、ライナに抱きしめてもらっていたリリーが言った。
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