クリスマスの夜に
血のつながった実の妹を愛することは、タブーなことなのか?

 本当にそうなのか?

 愛した人が、妹であったという事実。だけど、彼女は一人の女性でもある。
 僕が愛した人が、ただ妹であったと言う事にしか過ぎないのではないのか?

 両親がこの世を去ったとき。僕は強く妹「まやちゃん」を抱きしめた。

「守るから、俺がいつも傍にいるから。いつまでも俺がまやちゃんの事を愛し続けるから」
 そう言いながら二人で泣きあったあの日。

「ずっと傍にいて、お兄ちゃん。ううん、巧《たくみ》」
 初めて僕の名を彼女は呼んでくれた。
 もうそれだけでよかった。彼女の想いが僕の胸の中に伝わる。
 ドクン、ドクンと小さな鼓動が、僕の鼓動と重なり合う。
 そっと、彼女の唇に、僕の唇が重なり合い、互いの気持ちが通じ合うその瞬間を確かめ合った。
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