クリスマスの夜に

 水晶の力が衰えるにつれ、まやみさんの記憶の中に、自分がこの水晶によって生き返らせていることを知るようになった。そして、このまま力が失われれば、初めに託されたあなたの命が代償として失われる。それと同時にまやみさんの存在自体も、あの世界から消えうせてしまう。本来ならいるはずのない存在なのだから。


 自らをこの世界に召喚させ、己の心をこの水晶の一部となることで、あなたの命をそして想いを守ろうとした。
 私はそのまやみさんの想いが生み出したもう一人のまやみ。

 私があなたを、いいえ、お兄ちゃんを愛する気持ちはいつまでも変わらない。

 私は……もう一人の本当のまやみ。
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