愛しき貴方へ愛を詠ふ
まず最初に、彼女の話から始めよう。

彼女は親を持たない。
つまり、捨て子だ。
産まれて間も無く施設へと預けられた。
そのまま親は行方を消し、
彼女は独りになった。

親からの愛情を受けたことの無い彼女は、
笑わないようになった。
彼女曰く、笑い方がわからないと言うより、
笑いたくないらしい。

笑って、ただ笑って。
それだけで生きていくのは、
馬鹿げている、と彼女は言った。

そんな彼女は詩に出会った。
愚かな人間どもの中には、
こんな素晴らしい詩が書ける者もいるのか。

彼女は生まれて初めて感動した。

そして彼女も詠うようになった。

最初から良い詩が生まれた訳では無い。
「美しい」という感情を知ることから始めた。

朝焼けや夕焼け、夜景を見て、
心を豊かにすることを学んだ。

それは、長い道のりだった。
詠いたい。そう思った日から2年かかった。

こんなにも長い時間がかかるとは
彼女を思っていなかっただろう。

だが、彼女の意思は強かった。
こうして今詠えているのは
彼女の意志の強さのおかげだ。

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