永遠に解けない夢を
塔で出会った少年――神月くんの案内で、今塔から近い喫茶店にいる。店内は今どきのおしゃれな雰囲気ではなく、シンプルなものだった。


空いてる席を適当に選び、メニューを見る。しかし神月くんは一緒に見る風でもなくただ待っている。

「神月くんは見ないの?」

「オレは全部頭に入ってるから。ゆっくり選んでよ」


そんなことをさらりと言われた。早く決めなきゃと逆に焦ってしまう。


神月くんは不思議そうな顔をする。


「なんで焦るの? オレは別に怒らないよ。たとえ、夜になっても」

「でも……」

「やっぱり、オレにも見せて。まだ決まってないんだ」

「あ……うん」

「ここは、塔を見立てたケーキも有名でね」



もう決まってるはずなのに。……どうして? どうして、見ず知らずの私に優しくしてくれるの。


どうしてーー?


そんな疑問が胸中を渦巻く。


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