にじいろしぐれ

「晴。契約だよ。俺は晴を捨てたりしない。
だから晴は俺とずっと一緒にいて。」


...契約?

さっきからことが淡々と事が進みすぎていて頭が追いついていない

ここは夢の中で...この人は私の想像の中の人...


でも...



もう少しこの人と居たい。



そう思った。


「ふふ、契約成立だね晴。」


私は綺月さんの手をとっていた。



グイッ

「うわっ」

急なことで綺月さんの胸に飛び込むような形になってしまう

あれ...?暖かい...夢じゃない...?

そう思った刹那、唇にあたたかい感触が伝わった

...!?あたってる...!?


「んーんーっ!」


「ふふ、何その間抜けな顔」


明らかに面白そうにしてる綺月さんの顔が目の前にある


この人は私に何をしたんだ...

抱きしめられて...暖かくて...そ、それから...

唇が当たって...

え...

これって...

き、キス!?

私キスされたの!?



「ふふ、なに百面相してるの?

.....次はちょっと痛いかも。」


...? 「っ、」


鎖骨のあたりにピリッとした痛みが走る

「ん。出来た。」

「...?」


暖かくて甘い匂いに包まれる。


いい匂い...とても暖かい...


私抱きしめられてるんだ。


こうやって誰かの体温に触れるのはいつぶりだろうか。


「晴。辛かったら泣いていいよ。全部俺が受け止めてあげる。心に溜まってること全部俺にぶつけてよ。」


その瞬間わたしを縛っていた何かが解けた気がした


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