にじいろしぐれ
「わ、たし...すごく寂しくて、苦しかったっ。」


「うん。」


「お父さんもっお母さんもっ...」


鍵がかかってていた箱が空いたように私の口から言葉がでてきた

これまで辛かったこと悲しかったこと全て彼は聞いくれた


「うんうん。よく頑張ったね。晴はいい子だよ。」


そう言って綺月さんは頭を撫でてくれる



あぁ、私ずっとこうしてもらいたかったんだ。


あぁ、これが夢じゃなかったらどれだけ幸せだろうか。


もうこの人の体温には触れられないのかな


もしこれが夢だったら私はまた...


「夢...なんかじゃ嫌だっ」


綺月さんは一瞬驚いた表情を見せたがふっ、と微笑んで私の頭を撫でてくれた


「...晴俺の目をみて」


「...?」


綺月さんの金色の瞳に捕えられる。

その瞳は真っ直ぐで私をちゃんと見てくれている


「夢なんかじゃないよ。」


夢...じゃない...?


私は訳が分からず綺月さんを見つめる


綺月さんの目が細められふわりと花が咲いたように笑う


「晴、今までよく頑張りましたっ。」


「わっ」


綺月さんは苦しいくらいに私を抱きしめてくれる。


「目、閉じて。」


「え?」


「いいから、早く。」



「んっ。」



『もう君はひとりじゃない。もう絶対に1人になんかしないから。』



綺月さんは私の頭の中に語りかけるようにそう告げた



「目あけて」



ふわっ


甘くて暖かい香りが鼻を掠める。


...!?



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