言い訳

 でも……。

 なぜ? ここに居るんだろう?

 彼は入社三年目。ということは、二十五歳?
 十歳も年下の部下の腕の中で……。私は、何をしているんだろう?

 ダブルベッドをやわらかい照明が映し出す部屋。

「課長、大丈夫ですか?」

 君と二人でここに居る状況が、既に大丈夫ではない。

「お水、もらえる?」

「はい」
 彼は、冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを出してキャップを開けて渡してくれた。

 ひと口、ふた口、冷たい水が喉を流れて私を潤す。

 頭の中が少しずつ記憶を呼び戻す……。

「ありがとう」
 ボトルを渡すと彼は、それを飲み干した。
「美味い」

 ベッドの足元でハイヒールを履いたまま立っている私は思い出していた。
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