俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「全然違いますよ! 例えば日野原(ひのはら)飲料のミルクティーは甘味が強いのが特徴で、疲れた時にはとても癒されます。カロリーが他社に比べると少し高めなのが悩ましいですが」

「商品開発を担当されているのですか?」

「いえ、まったく。ほぼ毎日、ただ紅茶を飲んでいるだけです。そこにある、タジミ飲料株式会社様のミルクティーもまろやかな味わいが素晴らしいんですよ」

「紅茶飲料がお好きなんですね」

「大好きです!」

「ストレートティーが一番お好きなんですか?」

「ええ、でもほかの種類も大好きです。ミルクティーのように、レモンティーもカロリーオフのものなどバリエーションがあればいいのにと常々思ってます」

勢い込んで早口で言い切った後、不思議そうな表情の男性を見てふと我に返る。


私、初対面の人に一体なにを……! 

ああ、またやってしまった。

こんな時にいつもの癖がでてしまうなんて、最悪だ。


「す、すみません。いきなりベラベラと……失礼を……」

羞恥に居たたまれなくなり、うつむく。

穴があったら入りたい。

絶対に呆れているだろうし、ひかれているにちがいない。

この癖が引き金になって、恋人とも別れたというのに。

まったく学習できていない自分が情けない。


「ハハッ」

突如頭上から聞こえてきた声に思わず頭を上げる。

心底おかしそうに肩を揺らし、相好を崩している美形男性。


なんで笑っているの?
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