俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
忙しく手を動かし荷物を片付ける私に、入籍を祝うため食事に出かけたかったのに配送日を間違えた、と彼は複雑な表情を浮かべていた。

そうは言っても荷物を片付けなければ、明日から出勤する服さえ見つけられない。


「手伝おうか?」

「お願いしたいけれど、まずは箱を開けて収納場所を決めなきゃいけないし……」

言葉を濁すと有能な夫は肩を竦める。


「じゃあ俺は夕食の準備でもしてくる」

「えっ!」

「なんだ?」

「いえ、お料理をされるんだと驚いて」

「日野原家は祖父の教えで、男子が厨房に立つのを当たり前としているんだ。俺も小さい頃から一通り教え込まれた」

「まさか掃除も……」

「この家の掃除は基本的に俺がしている。時間がなくて最近はハウスキーピングを頼む機会が多かったが」


嘘でしょ、家事も仕事もできるって……どれだけ完璧なの。

ますますこの人が私を選んだ理由がわからない。


恐るべし、日野原家。

どれだけ男子の株を上げるのよ。


それにしても私はこの人についてなにも知らなさすぎる。


「どうした?」

突然黙り込んだ私を訝しむように彼が尋ねる。

「いえ、知らない事実が多いなと」

「今まで別々の人生を歩んできたんだ、当然だろ。だからこそ一緒に暮らす意味があるんじゃないか?」

さらりと口にされて、思わず目を見張った。
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