俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「お前以上に想う相手なんていない。最初から伝えていただろ?」

唇が唐突に塞がれる。

彼と交わした中で最も甘いキスに頭が、心が切なく痺れていく。


もうどうしようもないくらいに、この人が好きだ。

想いが溢れて、眦から一粒の涙が零れ落ちた。


「……これから先、詠菜が泣くのも笑うのも俺のためだけだったらいいのに」

ほんの少し唇を離した彼が呟く。


本気とも冗談ともつかない物騒な台詞に息を呑む。

首筋に幾つもの口づけが落とされる。


「今夜、お前の全部を独り占めしたい」


吐息が唇をくすぐって、その甘さと熱に酔いそうになる。

至近距離に迫る綺麗な目には隠しきれない色香が滲んでいる。


彼の求めている答えがわからないわけじゃない。

小さく、でもはっきりと頷いた私に彼は熱のこもった視線を向ける。

そして額に小さなキスを落として、私の膝裏と背中に長い腕を回す。


「采斗、さん?」

「じっとしてて」

言うが早いか、彼は私をふわりと横抱きに抱えた。

突然の浮遊感にうろたえる。


「お、重いから下ろして!」

「詠菜が重いわけないだろ。危ないから暴れるな」

「でも」

「最愛の妻をこうやって運べるのは夫の特権だろ?」

色香のこもった声で囁かれて一気に頬に熱がこもる。


本当にこの人はズルい。

そんな言い方をされたらなにも言えなくなるのに。
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