俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
迷いのない足取りで采斗さんは私を寝室に運ぶ。

いつもの見慣れたベッドが今日は妙に緊張する。


まるで壊れものを扱うかのような繊細な手つきで彼が私をシーツの上に下ろす。

横たわった私のすぐ隣で、采斗さんが腰かける。

私の額、瞼、頬にキスの雨を降らせながらゆっくりと覆いかぶさってくる。


「俺がどれだけお前にこうやって触れたかったと思う?」

妖艶な眼差しが私を射抜いて、衣類に手をかける。


「毎晩隣で無邪気に眠る詠菜に触れたくて、気が狂いそうだった」

「で、でも抱きしめていたし……」

十分触れていたんじゃ、と思う私はやはり色恋に向いていないのだろうか。


「あれだけで我慢できているわけないだろ?」

艶やかな声があっさり否定する。


「今までの俺の我慢を今日は全部受け止めて」

長い指が私の輪郭をゆっくりとなぞっていく。その手つきに身体が火照っていく。


「――もう絶対に離さない。お前は俺だけのものだ」

唇が優しく重ねられる。

何度も繰り返される甘いキスは私の理性をどんどん奪っていく。


服を脱がせる彼の手つきの優しさに、恥ずかしさと嬉しさが混じってふいに泣きたくなる。

甘い、誘惑するような視線から目が逸らせない。


長い指が私の身体のすべてに触れて、たくさんのキスが落とされる。

まるで全身が彼に独占されているような気持ちになる。


それは私が今まで生きてきた中で一番甘く幸せな時間だった。
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