俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「そもそも俺の気持ちは詠菜に伝え続けてるんだ。一年後に離婚するつもりなら告白なんてしない」

「日野原の言い分はわかる。でも俺たち男にはわからないなにかがあるんじゃないのか。あのネットニュースを読んだ時はお前の本気を思い知らされたが」

「当たり前だろ。詠菜は誰にも渡さない」

「そういう台詞は直接奥さんに言えよ」

「言ってる。それより人の妻に勝手に会いに来るな。気安く話しかけるな」

「お前がなかなか会わせようとしないからだろ。どれだけ独占欲が強いんだよ。狭量な男は嫌われるぞ」

「藤堂、その調子だから女性に誤解されるんだ。さっきも如月に一緒に帰るのを断られていただろ」

思わず胡乱な目を向ける。


この親友は派手な容姿と軽い調子が災いして女遊びが激しいと周囲に誤解されている。

本人も表立ってそれを否定しないせいもある。


「俺は本命には一途だからいいんだよ。お前こそそんなに奥さんが心配ならさっさと自宅に戻れよ」

そう言って親友は座っていたソファから腰を上げる。


「今回のプレゼンは負けたが、次は負けないからな。提携話は面白そうだから持ち帰らせてもらう」

「望むところだ」

ニッと口角を上げて藤堂が部屋を出ていった後、俺は詠菜に電話をかけた。
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