俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「前回の絵本と今日のお礼もしたいし、よかったら連絡先を教えてくれないかしら? ここで再会したのもなにかのご縁だし、よろしければ今度ゆっくりお茶にお誘いしたいわ」

「お礼なんて必要ないです。でも私も百合子さんとまたお話をしたいので喜んで」

フフッとふたりで目を合わせて微笑みあう。


この間初めて出会った時もそうだったが、百合子さんと過ごすととても温かな気持ちになる。

その後、ふたりでバッグからスマートフォンを取り出し、連絡先を交換した。


「おばあ様」


突如割り込んできた男性の声に、先に反応したのは百合子さんだった。

「あら、采斗。早かったわね」

「早かったわね、じゃないです。ひとりで外出されるのはいい加減にやめてください。おじい様が心配しています」

「あの人にはきちんと言付けを頼みましたよ」

「後付けで言われてもどうしようもないでしょう」

どこか聞き覚えのある低い声に、思わず顔を上げる。


この声って、まさか……。


「詠菜?」

「ふ、副社長……!」

驚いて思わず立ち上がる。


その瞬間、一瞬足元がふらついたがなんとか堪えた。

今日の買い物はいつもより身体に負担がかかっているようだが、この人たちの前で倒れるわけにはいかない。


「あら、ふたりとも知り合い?」

「我が社の大切な社員ですよ」

「あら、まあ。すごい偶然ね」


ちょっと待って。

今、副社長は百合子さんをおばあ様って呼んだよね? 

おばあ様って……まさか。
< 44 / 221 >

この作品をシェア

pagetop