俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「待ち合わせ場所はどちらですか?」

「一階のエントランス付近よ。もうすぐ到着するって連絡をもらっているわ」

「それでしたら、エントランス脇の休憩スペースに行きましょう」

老婦人の少し疲れた様子が気にかかり、申し出る。

私自身も少し休みたいと思っていたところだった。

「そうね、ちょっと調子にのりすぎちゃったわ。足が疲れてしまって」


素直に応じてくださった百合子さんを休憩スペースに案内する。

このデパートは所々に椅子や小さなテーブルなど、足を休める場が設けてありとても買い物がしやすい。


幸いにもエントランス脇の小ぶりなソファには誰も座っていなかった。

百合子さんとともに腰を下ろし、荷物を小さなテーブルに乗せる。

「ありがとう、助かったわ。ごめんなさいね、お買い物の邪魔をしてしまって」

「いいえ、私も少し人ごみに酔ってしまって、帰ろうかと思っていたので気になさらないでください。そういえば先日の本、いかがでしたか?」

「以前から欲しかった本だと大喜びされたのよ。詠菜さんのおかげね」

「いえ、選んだのは優月ちゃんなので……今度会ったら伝えておきますね。きっと喜びます」

私の返答に百合子さんは少し不思議そうに首を傾げた。

「あら、優月ちゃんは詠菜さんの娘さんではないの?」

「はい、姉のひとり娘なんです」

「まあ、そうだったの。ごめんなさい、私ったら勘違いしてしまって……」

「お気になさらないでください。よく間違われるんです」
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