一匹狼と野良猫。


「コウ!!! 落ち着け!!
チビちゃんが先だろうが!!」



タイガさんの言葉にハッと我に返る滉牙さん。

ゆっくりと彼はこちらを向く。

殺意は消えていた。



良かった......

いつもの、滉牙さんだ。



「ゆいっ!!」



こちらに走って駆け寄り、両手で頬を持ち上げる。

目の前には綺麗な顔。

心配そうに眉間にシワを寄せている。



「............ごめん。
遅くなって、ごめん」



そう言って彼は抱き締めてくれる。

手錠で繋がれたまま手に彼は気づく。

意識が朦朧とする私の異変を感じ、

顔を覗き込む滉牙さん。

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