堕天の翼
第7章 ‐逃 亡‐
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中学1年になろうとしていた春…、悠の母親・美津子と、奈都子の父親が再婚し、悠は、成宮家に初めて訪れた…

父親…という存在を知らなかった悠にとって、初めて父と呼べる人…

「悠くん、本当のお父さんだと思って…」

と、にこやかに笑いかける中年の男性…、一人娘である奈都子を紹介された…

「悠くん、よろしくね」

そう、右手を差し出された…。。優しそうな笑顔をした人だった…

母親と2人だけの生活が、物心ついた頃からあった悠にとって…、初めて…母親以外の家族が出来た…


それから、父親の期待に答えるために…勉強も運動も人並み以上に努力した…



中学2年になった時には…

「全国模試で10番以内なんて、凄いじゃないか!」

そぅ、自分のことのように喜ぶ父…、その頃には父と姉の奈都子にも、打ち解けていた…

「たまたまだよ。」

「いや! 凄いよ。これで、俺の会社の跡取りになってくれればな…、奈都子はいずれ…嫁に行くし、悠に継いで欲しいな…」

と、上機嫌で…お酒も入ってか…そぅ、饒舌に言った父の言葉…。。悠は、姉の奈都子がいるのに…冗談だろう…と、聞き流していた…

が、2人のその会話を…、奈都子は、部屋のドアの前で聴いていた…

その翌年…、奈都子は父親の希望する大学の受験に全て…落ち。。滑り止めで受けた女子大学に入学が決まった…




高校1年の夏…

部活から、帰ってきた悠は、シャワーを浴びていた…


それを見計らい…、姉の奈都子は、自分が処方されたはずの睡眠薬を悠のペットボトルのスポーツ飲料に、割り入れ…溶かした…


ただ…、悠を困らせる為の計画。。

精神的にも、追い詰め…。。自分の言うがままになる人間にさせるために…


それを知らず…に、シャワーを終え…、着替えを終えた悠は、居間に置いたままになっていた荷物を持ち、自室へと向かおうとしていた…

「悠、帰ってたの? 今日、お父さんもお義母さんも、2人で食事をしてくるって遅くなるって、言ってたゎ。」

階段を上がろう…としていた時、奈都子に言われた言葉に、悠は奈都子の方を振り返る…

「そうなんだ。分かった。
俺、勉強するから…」

そぅ、在り来りな会話を交わした…。。

部屋に入り、課題に取り組みながら…飲みかけていたスポーツ飲料を口にする…

「…あれ…?」

問題を解いているウチに、頭がボーとしてきていた…。。目も…上手く開いていられない…瞬きを何度も繰り返す…、喉も異常に乾く…。。渇きから…スポーツ飲料を口にする…



その内…、その机の上に…倒れ込むように眠りについた…



どれくらい…、時間が経ったのか…?

うっすら…とした意識の中、頭を抱えながら…まだ、意識は朦朧としていた…

いつの間にか、ベッドにいる自分…

「悠、ひどいことするのね…」

そぅ、聞こえた声に…。。意識が引きずり込まれた…

何とか…、上半身を起こした悠…、衣服も何も身につていない…、意味が分からなかった…

「姉さん…、なに…?」

奈都子は、泣いていた…。。両手でその顔を覆い隠し…、奈都子も衣服も何も身につけていない状態だった…

その顔を悠に向け…

「でも。あなたが望むなら…」

そぅ言い…、悠の唇に口付けをし、その首筋や胸元に唇を這わせていく…。。ベッドの上に押し倒された…

奈都子は、悠の手を取り…、その手を自分の胸に押し当てる…。。不敵な笑みを浮かべながら…

「私も、あなたが好きよ…」

そぅ、再び…悠の唇に口付けをする…

「……っ」
《なにが…、起きているんだろう…?

頭が、ボーとして…何も、考えられない…》

少しづつ…、重たくなる瞼…、抗おうにも逆らえない…姉の身体…

再び…、意識が途切れた。。
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