【短完】奇跡が降るなら、時の音を止めたいと思った。

この商店街は、私と初羅が付き合っていた頃によく行っていた場所。

喫茶店で待ち合わせしてお茶を飲んで、そこから雑貨屋などを見て回る。この流れが私たちのデートの定番だった。

1ヶ月前には別れることなんて全く考えていなくて、今とは反対にキラキラと希望に溢れていた。

「喫茶店、行こうか。」

そう言って懐かしそうにに笑う初羅に、

『行こう』

笑いかける。


喫茶店に入って私がショコラティー、初羅はカプチーノを選んだ。

1ヶ月の隙間なんて無かったかのように笑いあって、その度にああ、好きだなと思った。

時刻は11時で。少し早いけどお昼ご飯もそこで食べることにした。

頼んだホットサンドはチーズがトロトロでパンがサクサクでとても美味しかった。外は暑かったが店内はキンキンに冷房が冷えていたため少し体が温まった。

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