【短完】奇跡が降るなら、時の音を止めたいと思った。

「次行くか」

『そうだね、どこ行く?』

「ん?俺たちの思い出の地パート2、雑貨屋!」

次行く所も決まったことだし、入店してから30分経ったところで初羅が立ち上がる。

お会計を払おうとしたけど、「いいって、俺に奢らせて?」

そう言って圧をかけて笑う初羅に口は出せなかった。



雑貨屋を見れば可愛いアクセサリに目を奪われた。

かっこいいシルバーチェーンの系統のものから、可愛い系統のゴールドのもの。

『あ、可愛い。』

「どれ?」

『これ。』

「ふぅん、いいじゃん。ひぃに似合いそう。」


そう言ってナチュラルに私が選んだネックレスをレジに持っていこうとする初羅を慌てて止める。

『どこ行くの!?』

「え?買うんだからレジでしょ?」

『いや、そうだよ?万引きダメ絶対だけどね?』

「ならいいじゃん。」

そう言って私の静止を軽々と避けて再び歩き出そうとする初羅。

『普通、私が買うべきものでしょうが!!』

そう言って初羅の手を掴もうとした時、初羅の手が透けた。

『え……?』

透ける、なんてことがあるはずがなくてゆっくりと瞬きする。
< 5 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop