探偵助手、最後の事件
「刑事さん、先生がこの街に来るまでは敏腕刑事だったみたいですね。先生が来て事件を次々と解決していたから、周囲から刑事さんの事を無能だと言われたのではないです?」

私の言葉にさらに険しい表情と身体を怒りで震わせて握り拳を作っている。どうやら図星のようだ。

「先生が言ってくれました。『どんな警察より君が一番優秀だ』と。私の事を評価していただいた先生の為に、貴方を犯人として逮捕してみせます!」

私が刑事さんを指差して断言すると、刑事さんの身体はさらに震え、右手を上げる。殴られると思った私は腕で顔を塞いだ。しかし腕に衝撃はなく、両腕の隙間から刑事さんを見ると上げた右手を額に当て、耳から刑事さんの大声が響く。
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