犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



そんな白川さんの言葉はやけに説得力があって、私はすごく嬉しかった。


『両思い』か。
そんな言葉はいつぶりに聞くだろう。


中・高生の頃は、よく片思いだ両思いだ言いながら付き合ったり別れたり忙しかった。
でもそれが恋愛って感じで楽しかったのに…


大人になったら保守的だし、両思いじゃなくてもある程度は割り切って付き合わなきゃいけないしで、純愛なんてどこかへ行ってしまったみたい。


両思い同士が付き合えるなんてそんな幸せなことは、なかなか起こらない稀な現象だ。





「っていうか。結菜的にはどう思ったの??
浅香くんから愛情感じた??」




私がぼんやりと恋愛の捉え方について考えていると、美和が誰よりも鋭く、確信的な質問をしてきた。



愛情...。それは感じた。とても。



浅香からの視線は熱くて、触れた手も唇も熱を持ってて、一つ一つの言葉にも思いが篭もってるように感じた。


だからこそ、あっさりと『じゃあな』なんて言って帰っていった浅香に驚いたし、少しガッカリしたんだ。




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