犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



全ての原稿を読み終えて、私は胸がいっぱいいっぱいになった。


「美和...。これって...」



「これ。3月10日発行の社内報の原稿なの。
さっき広報部からコピー頼まれて。
見てみてびっくりよ。本当に...。


浅香くん。福岡行く前に何とかしなきゃいけないんじゃない?
遠距離恋愛とかどーでもいいじゃん?
お互いにこんなに好きなんだから。」




美和の言葉にうんと頷いて、私は原稿片手に総務部を飛び出した。
そして、商品開発部に戻ると、まだみんな遅めの休憩に入っているらしく、ラッキーなことに談笑している柳原さんと白川さんしかオフィスにはいなかった。




「ごめんなさい。あとで事情は話すので。
守屋は、体調悪くなって早退しましたって真田チーフに伝えてもらえませんか?」




私の焦り方でただならぬ事態だと察したふたりは、「何がなんだかわかんないけど、いってらっしゃい!!」と背中を押してくれた。





「いってきます。」




そう告げて、私はオフィスをあとにした。
こんなに走る意味はないけど、早く会いたかった。不器用で、優しい浅香に。




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