犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら



もちろん、その日も約束なんてしていないし、そもそも浅香と私が2人でわざわざ店を予約してまで飲みに行ったことはない。



浅香が私の名前を出して断るせいで、私は数多くいる浅香ファンから少々怖い視線を向けられているような気がする。



女の怖さというものを、浅香はきっと理解していないんだろう。
ほんと、あぁいうやつがいるから女子の関係性が悪くなるんだ。


なんて呆れていると、浅香がすっとコーヒーを入れに給湯室に行ったようだったので、


私もタイミングを見計らって浅香を追いかけた。



「ちょっと、どーゆうことよ」


給湯室の扉をしめて、浅香に問い詰めるとハハハと呑気に笑っている。


「やっぱりな。追いかけてきて、文句言われると思った」


なんて言って笑う彼を今度は蹴り飛ばしたくなった。


< 36 / 259 >

この作品をシェア

pagetop