犬猿だったはずの同期に甘く誘惑されたら
なごみやに着くと、浅香がガラガラと引き戸を開いて、私を中へ自然に誘導してくれる。
こーゆう身についたようなエスコートの仕方がいちいち女慣れしてるようで、癪に障る。
私がいつもの定位置のカウンターに座ると、浅香はなんの迷いもなく私の隣に腰掛けた。
まぁ、そーでしょうけど...。
ここまで予想通りの展開が目の前で繰り広げられると、だんだん気分が憂鬱になる。
いつもは癒しのゴンさんの声も、なんか今日はいつもの力が半減されたように聞こえた。
「すみません、ビール2つ」
慣れたようにご丁寧に私の分まで注文する浅香から、なんとなくこの店に馴染んできた様態が感じられて、ますます気分が悪くなった。