彼の溺愛はわかりづらい。


「…一回、離して」

「嫌だ」



…嫌って……。

私だって、離れたいわけではないんだけど。いや、今のところは離れたい。少し。



「…ホントの気持ち、話したいって言ったじゃん」

「聞きたくない」

「!?」



なんで。
じゃあなんで、抱きしめたりするの。

なんで、そんな「引かれるかもしれない」って思うようなこと、話したの。

ズルいじゃんか、海堂。



「…怖ぇんだよ」

「…ふふ」

「おい、何笑ってんだよ」



つまりはさ。
私が今から、「海堂なんか嫌いだ」とでも言うのかって、思ってるってこと?

バカだね、海堂。ほんとバカ。



「…好きだよ」

「は?」

「私、海堂のこと、好きだよ」




< 166 / 209 >

この作品をシェア

pagetop